ゴルディオンの結び目 2012 1 8

書名 明るい未来が見えてくる 最先端科学技術15 小冊子
著者 山田 久美  マガジンハウス

この本で、興味深い点について、いくつか取り上げましょう。

電子が回転する性質を利用する「スピントロニクス」

「ワイヤレス給電」で、電源ケーブルのない世界を実現

透明なセメントが電気を流す?「アルミナセメント」

95%以上が水という不思議な新素材「アクアマテリアル」

精度は3センチ以下!日本版GPS衛星「みちびき」

手のひらサイズの化学工場「マイクロ化学チップ」

 いくつか、わかりにくい用語がありますので、
この本を使いながら、解説しましょう。
 まず、スピントロニクスについてですが、
これは、背景として、半導体技術の限界があります。
 現在の半導体デバイスは、微細化することで性能を向上させてきましたが、
今や、その微細化は、原子レベルまで到達してしまい、
これ以上、性能の向上は望めない状況にあります。
しかし、それでも、コンピューターの能力向上を求められています。
そこで、今までとは全く異なる方法で次世代のデバイス開発を考える必要があります。
 さて、原子レベルと書きましたが、
原子核の周りを回っている電子は、
電荷とスピンという二つの性質を持っています。
 しかし、今までのエレクトロニクスの世界では、
電子が持つ二つの性質のうち、
電荷の方を積極的に利用してきました。
 それに対して、電荷に加えてスピンも、
積極的にエレクトロニクスに取り入れて、
活用しようというのが、スピントロニクスです。
日本は、スピントロニクスの分野で世界最先端だそうです。
 次に、ワイヤレス給電については、
知っている人が多いと思いますが、
興味深いのは、送電の方法として、レーザー方式があります。
つまり、光を使って、電力を伝送する方式です。
 アクアマテリアルについては、
原料が、ほとんど水なのに、しっかりとした形があり、
手で、ちぎれないほど強く、
切っても、すぐにくっつければ簡単に元に戻るという素材です。
 マイクロ化学チップについては、
化学工場というと、巨大な建物を連想するでしょうが、
実は、手のひらの上に載る「化学工場」のことです。
大規模な化学工場を手のひらサイズにするという試みです。
 ガラス基盤の上に刻まれている溝の太さは、
100マイクロメートル、溝の体積は数百ナノリットルで、
肉眼で見ると、一本の筋にしか見えません。
それが、模様のように、ガラス基盤の上に刻まれています。
 メリットとして、化学物質を合成にするに当たって、
試料の量が、フラスコやビーカーを使う場合と比べて、
10億分の1から数千万分の1で済みます。
ということは、廃液の量も極端に減らすことができます。
また、化学反応の速度がとても速くなるということです。
 まだまだ魅力的な科学技術が紹介されていますが、
後は、この本を読んでください。
この本は、小冊子サイズですので、気楽に読めるでしょう。
 最近、日本の未来を悲観的に考える人が多くなりましたが、
日本の未来を拓くのは、科学技術です。
 日本の未来を解決するのは、
経済政策や金融政策では、困難かもしれません。
しかし、日本の科学技術が、ゴルディオンの結び目を解いてくれるでしょう。








































































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